SS属性

SSまとめ。旧はらぺこ属性。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

紬「梓ちゃんを孕ませてしまった」



1 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:40:33.02 ID:FHIMZ0Tv0

部活が終わった後、梓ちゃんに呼び出されちゃいました。
実は私達付き合ってます。
今日はどこへ行こうかな、どんなお話をしようかな、と考えていると、梓ちゃんがやってきました。
だけど、梓ちゃんの口から飛び出したのは、とんでもない言葉でした。

梓「できちゃいました」

紬「なにが?」

梓「あのキスでできちゃったんです……赤ちゃん」

紬「……えっ」

梓「それでその……」

以前デートした時のことです。
家にきたお客さんがくれた「キスするだけで子供が出来る薬」を使ってみました。
ただのジョークグッズの類だと思って、軽い気持ちで試したんです。

梓「…責任、とってくれますか?」



4 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:43:04.49 ID:FHIMZ0Tv0

紬「本当に、本当なの?」

梓「はい、病院で検査してもらいましたから、間違いありません」

紬「えっ、だけど」

梓「お気持ちはわかります。そんな簡単に信じられませんよね」

紬「ううん。信じないわけじゃないけど…」

梓「無理しなくても大丈夫です
  私もまさか出来るとは思っていなかったので、ムギ先輩が信じてくれないのも無理ありませんから」

正直なところ、キスだけで子供が生まれるなんて、生物学的にありえないと思います。
でも梓ちゃんはこんな冗談をいう子じゃないし……。
何より瞳が本気のそれだと感じられました。

梓「信じていただけないようでしたら、これから一緒に病院に行きませんか?
  医者の話を聞けば、ムギ先輩も流石に信じてくれると思いますから」

紬「……。
  いいわ、私、梓ちゃんのこと信じるから」

梓「本当ですか!?」

紬「うん、本当。梓ちゃんは私の子供を身篭ってくれたのね」

梓「はいっ!」



5 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:44:44.91 ID:FHIMZ0Tv0

紬「それでその……梓ちゃんは産みたいのよね」

梓「……反対ですか?」

紬「ううん。だけど……」

言いかけてやめました。
梓ちゃんには考える時間があったはずです。
高校はどうなるかとか、これからの人生のこととか、
色々考えた上で「産む」という結論に達した筈です。
大変なことは覚悟の上で、私の子供を産みたいと思ってくれた筈なのです。
不安で小さくなってしまってる梓ちゃん。
それなら私が言うべきなのは……。


紬「だけど、嬉しいなって思って!」


その言葉を聞いた梓ちゃんはパッと顔を明るくしました。
反対されるのを恐れていたのでしょう。



6 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:46:39.46 ID:FHIMZ0Tv0

梓「私、産んでもいいんですね!」

紬「もちろん」

私は梓ちゃんをそっと抱きしめました。
その小さなからだは小さく揺れていました。
かわいそうな梓ちゃん。

紬「ごめんね。不安にさせてごめんね」

梓「ムギ……先輩」

梓ちゃんは強く抱きしめ返してくれました。



8 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:48:42.44 ID:FHIMZ0Tv0

紬「それで……これからどうしよっか」

梓「先のことですね」

梓ちゃんの顔がにわかに曇りました。
たぶん私の顔も。

紬「ええ。まずは梓ちゃんの御両親にお話しないと」

梓「それなら大丈夫です」

紬「えっ」

梓「両親はよくやったって言ってました」

紬「えっ……どうして」

梓「良家の御嬢様の子供を身篭ったからです。
  私達高校生で女同士なのに……。
  あんないい加減な人達だとは思ってもいませんでした」

梓ちゃんの御両親には何度かあったことがあります。
とっても優しそうな人で……多分良い人だと思います。
だから照れ隠しにそう言ったのかなとも思いました。
でも今の梓ちゃんにそれを伝える必要はないでしょう。

紬「じゃあ難関一つクリアね!」

梓「そうなりますね」



11 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:50:23.53 ID:FHIMZ0Tv0

紬「後は私の両親ね」

梓「はい。そこさえクリアできれば……その…」

紬「梓ちゃん。こうなった以上遠慮せずに本音でいいの」

梓「そうですね。……あの金銭的な援助も期待できるかと」

紬「子育てにはお金がかかるものね」

梓「はい、それに……」

紬「他にも何かあるの?」

梓「はい。ムギ先輩の御両親が賛成してくれないと、
  私の両親も掌を返す可能性が……」

紬「……なんにせよ御父様と御母様を説得しないとはじまらないわけね」

梓「説得できるでしょうか?」

紬「……わからない」

梓「私もいきましょうか?」

紬「ううん。梓ちゃんは自分の御両親を説得してくれたんだもん
  私は私で頑張るから大丈夫!」


斎藤はわかってくれるだろうし、御父様や御母様だってきっと……。



12 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:51:12.15 ID:FHIMZ0Tv0

私は暫く俯いて考えを巡らせていました。
ふと梓ちゃんの方を見ると、目元が真っ赤になっていました。
私は梓ちゃんを抱きしめたまま、背中をさすってあげました。


紬「よしよし。もう大丈夫だから」

梓「ごめんなさい……、あれっ、涙が……」

紬「止まらないね」

梓「ごめんなさい。ちょっと安心したら涙が止まらなくなっちゃって」

紬「不安だったんだね」

梓「はい。ムギ先輩に反対されたらどうしようって」

紬「……ごめんね梓ちゃん」

梓「どうして謝るんですか?」

紬「私があんな薬をもってきたばっかりに」

梓「それはいいんです。私だって冗談の類だと思いましたし。それに……」

紬「うん?」

梓「嬉しい気持ちもあるんです
  ムギ先輩の子供を産めるんだって」



15 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:52:10.14 ID:FHIMZ0Tv0

紬「……梓ちゃん」

梓「きっとかわいいと思います
  ムギ先輩と私の子供」

紬「そうだね」

梓「名前、考えといてくださいね」

紬「ねぇ、梓ちゃん」

梓「なんですか?」

紬「今日は梓ちゃんの家に泊まってもいい?」

梓「いいですけど、……御両親の説得は?」

紬「それは明日にしようかなって。
  その前に梓ちゃんの御両親にご挨拶しておかないと」


それは半分ホンネで、半分ウソ。
本当はこの状態の梓ちゃんを一人にするのが不安だったのです。


梓「そういうことでしたら……」

紬「ふふっ、梓ちゃんの家にお泊りするのも久しぶりねー」

梓「はいです」



20 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:53:06.12 ID:FHIMZ0Tv0

私は家に連絡を入れて、梓ちゃんの家に向かいました。
御両親との会話は、終始和やかなものでした。


紬「……お腹いっぱい」

梓「お母さん張り切って作りすぎちゃいましたから
  ムギ先輩も無理して食べることなかったのに」

紬「好意はもらっておくものよ」

梓「そういうものですか」

紬「ええ。だけど、ちょっと安心しちゃったな」

梓「安心、ですか?」

紬「うん。梓ちゃんはああ言ってたけど、
  実際に会ったら『大事な娘に手をだしくされやがって』と、
  怒られるんじゃないか、ってちょっとだけ思ってたから」

梓「ふふふ。杞憂に終わってよかったですね」

紬「本当」



22 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:54:09.19 ID:FHIMZ0Tv0

梓「それじゃあもう電気消しますね」

紬「うん」

梓「こうしてムギ先輩が泊まるの二回目ですね」

紬「一回目はまだ付き合ったばっかりだったね」

梓「ふたりきりで枕投げしましたね」

紬「うん。枕が少なくてとっても大変だったね」

梓「はい。枕投げは2人でやるものじゃないです」

紬「そうだね」

梓「ねぇ、ムギ先輩」

紬「どうしたの?」

梓「……」



25 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:55:09.18 ID:FHIMZ0Tv0

紬「梓ちゃん?」

梓「あのっ」

紬「うん」

梓「いつかくるんでしょうか
  軽音部のみんなで枕投げできるような日が」

紬「……そうだね」

梓「……」

紬「……」

梓「……」

紬「……」

梓「……あのっ」

紬「じゃあ、それを目標にしようか」

梓「もくひょう?」



28 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:56:24.40 ID:FHIMZ0Tv0

紬「うん。目標
  いつかみんなで枕投げできる日を目指そう」

梓「……できるでしょうか」

紬「きっと大丈夫。うん、大丈夫」


自分に言い聞かせるようにそう言うと、
梓ちゃんが抱きついてきてくれました。

梓ちゃんの体はとっても小さく、
新たな生命を宿すには不相応な感じさえします。

私はその小さなからだをぎゅっと抱きしめました。
梓ちゃんは小さく息を吐いた後、もっと強く抱きしめ返してくれました。

それから暫くして、寝息が聞こえてきました。
梓ちゃんの目元に触れると、濡れていました。


私には……何ができるんだろう。



29 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 19:57:48.77 ID:FHIMZ0Tv0

澪「じゃあこの中にムギと梓の子供がいるんだ」

紬「そうなのー」

澪「なんだか凄いな」

梓「はい」


次の日、私たちは軽音部のみんなに梓ちゃんが身篭ったことを伝えました。
りっちゃんと唯ちゃんは冗談だと思ったみたいだけど、
澪ちゃんだけはあっさり信じてくれました。


澪「なにか問題があったら言ってくれよ。
  私にできることなら相談に乗るからさ」

紬「澪ちゃん、ありがとう!」

律「まさか、本当なのか?」

紬「うん」

梓「そう言ってるじゃないですか」

唯「……信じらんないよ」

紬「無理もないわ」



35 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:02:02.80 ID:FHIMZ0Tv0

唯「でもムギちゃんが言うからには本当なんだろうね」

そう言うと、唯ちゃんは自分の耳を梓ちゃんのお腹にくっつけました。
鼓動を聞こうとしてるみたい。

唯「……何も聞こえないよ」

梓「まだ妊娠したばかりですよ
  聞こえるわけがないです」

唯「でもここに2人の子供がいるんだねー」

律「まだ信じられないけど、そうなんだな」

紬「それでみんな……協力してくれる?」



38 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:05:53.14 ID:FHIMZ0Tv0

澪「あぁ、私はもちろんいいぞ」

唯「もちろんだぞー」

律「正直半信半疑だけど、
  本当なら勿論協力するよ」

梓「……先輩」

3人の優しい言葉を聞いて、梓ちゃんは泣いていました。
なんだか最近梓ちゃんは涙もろくなったみたい。

紬「もう、泣いちゃって」

私がハンカチで梓ちゃんの目元を拭うと、澪ちゃんに指摘されちゃいました。

澪「そういうムギも涙出てるよ」

紬「あっ、嘘っ」

私が慌ててハンカチで拭うと、梓ちゃんが笑いました。
それにつられて3人も笑いました。

軽音部のみんなに話して本当によかった……。



40 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:09:07.69 ID:FHIMZ0Tv0

しかし、全部が全部上手く行くわけがありません。
そうです。私の御父様と御母様の説得のことです

結論だけ言うと、御父様の説得には失敗しました。
御母様も味方というわけではなく中立です。

そして意外なことに斎藤にも反対されてしまいました。

「人生の選択肢を狭める」というのが斎藤と御父様の言い分です。
2人が私のことを大切に想い、そう言ってくれているのはわかります。
それでも……応援して欲しかった……。

御父様に反対されてしまったことを梓ちゃんに伝えなければならない。
それだけで私の心はずしりと重くなってしまいました。

明日、どんな顔をして梓ちゃんに会えばいいんでしょう。



42 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:15:00.17 ID:FHIMZ0Tv0

翌朝、登校中、ばったり唯ちゃんに出会いました。

唯「うー冷えるねー」

紬「もう11月だもんね」

唯「ムギちゃん、手つないでいい?」

紬「……うん」

唯「ムギちゃんの手、あったかーい」

ほんのちょっと迷いましたが、私は唯ちゃんの手をとりました。

梓ちゃんと付き合うようになっても、
唯ちゃんと手を繋いだり、
澪ちゃんを抱きしめて慰めたり、
みんなと軽いスキンシップは続けてきました。

それで梓ちゃんが気分を害したこともありませんでした。



44 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:19:43.58 ID:FHIMZ0Tv0

唯「赤ちゃんかぁ」

紬「……うん」

唯「あずにゃんとムギちゃんの子供なんだからきっとかわいいよ」

紬「……うん」

唯「元気ないねぇ、ムギちゃん」

紬「うん。ちょっと」

唯「……私には難しいことはわからないけど」

紬「うん」



47 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:26:49.74 ID:FHIMZ0Tv0

唯「ムギちゃんもあずにゃんもずっと仲間だから
  お爺ちゃんやお婆ちゃんになってもずっとずっと仲間だから」

紬「唯ちゃん……」

唯「だからさ……うーん……上手く言えない……」

紬「大丈夫。ちゃんと伝わってるから」

唯「そう?」

紬「うん。唯ちゃんありがとう」

唯「ムギちゃんやっと明るくなった」

紬「ふふっ」


唯ちゃんの気遣いはとても嬉しかったです。
ちょっと軽い気持ちになって歩いて行くと、今度は梓ちゃんに出会いました。



50 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:31:38.98 ID:FHIMZ0Tv0

梓「ムギ先輩、唯先輩、おはようございます」

唯「おはよー」

紬「おはよう」

梓「ムギ先輩、ちょっとこっちに来てください」


梓ちゃんは私の繋いでないほうの手をとって、引っ張っていきました。
とても険しい表情をしていました。
理由はわかります。
私の両親が赤ちゃんについてどう言ったのか気になってしょうがないのでしょう。


紬「あのっ、梓ちゃん」

梓「ムギ先輩!」

紬「はいっ」

梓「唯先輩と手、繋がないでください」

紬「えっ?」



53 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:36:05.68 ID:FHIMZ0Tv0

梓「……いけませんか?」

紬「えっと、うん。わかった」

梓ちゃんの言葉は予想外のものでした。
妊娠してちょっとは嫉妬してくれるようになったんでしょうか。
だとしたら、不謹慎だけど、ちょっとだけ嬉しい……。

梓「ありがとうございます」

紬「それでね梓ちゃん。家の御両親なんだけど」

梓「どうでしたか!?」

紬「……ごめんなさい」

梓「……はぁ」

紬「ごめんね」

梓「仕方ありません。そうなるとは予想してましたから」

紬「予想してたの?」



55 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:40:39.68 ID:FHIMZ0Tv0

梓「はい。
  ムギ先輩は良家の御嬢様ですから。
  どこの馬の骨とも知らない私との赤ちゃんなんて、
  当然反対されるだろうな、って」

紬「そんなことない!!」

梓「えっ」

紬「反対されたのは私達が子供だから。
  梓ちゃんの身分なんて関係ないんだから。
  だから……」

梓「……」

紬「自分を卑下しないで」

梓「……はい」



57 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:42:49.74 ID:FHIMZ0Tv0

紬「昨日は反対されちゃったけど、今日も説得してみるから。
  今日が駄目ならまた明日も、明日が駄目なら何週間でも、何ヶ月でも。
  赤ちゃんが生まれるまで、まだまだ時間があるんだから、ね」

梓「……そうですね」

紬「あともう一つ報告があるの」

梓「なんですか?」

紬「実はね、あの薬を持ってきた人について聞いてみたんだけど魔法使いらしいわ」

梓「魔法使い、ですか?」

紬「ええ、信じられる?」

梓「実際に赤ちゃんができたんだから、信じるしかありません」

紬「そうね。それでね、お腹の赤ちゃんは間違いなく私と梓ちゃんの子供だって
  遺伝子的にも魂的にも」

梓「魂?」

紬「あるらしいわ」



59 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:44:22.77 ID:FHIMZ0Tv0

梓ちゃんはゆっくり自分のお腹を愛しそうに撫でた後、こう言いました。

梓「ムギ先輩も撫でてください」

紬「うん。……ここに私達の赤ちゃんがいるんだ」

梓「はい。本当に私達の赤ちゃんがいるんです」

紬「ふしぎだね」

梓「ふしぎです。でも……嬉しいです」

紬「ふふっ、私も」



61 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:49:13.77 ID:FHIMZ0Tv0

放課後。
いつものように部室にやってきました。

唯「あずにゃ~ん。ふぅむ。ここに赤ちゃんがいるんだねーすりすり」

梓「うっ、やめてくださいよ」


そしていつものように抱きつく唯ちゃん。
その光景を眺めながらお茶を入れていると、
梓ちゃんに呼び出されてしまいました。
ちょっと廊下に来て欲しいとのこと。


梓「ごめんなさい。ムギ先輩」

紬「……どうしたの?」

梓「あのっ、朝はあんなこと言ったのに、
  唯先輩に抱き付かれてまんざらでもない顔してしまいました」

紬「あぁ、そのこと」



63 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:52:01.08 ID:FHIMZ0Tv0

梓「はい、私って嫌な女ですよね」

紬「そんなこと別にいいのよ。
  唯ちゃんが梓ちゃんに抱きつくのはいつものことなんだから」

梓「……」

紬「梓ちゃん?」

梓「……ムギ先輩は嫉妬してくれないんですか」

紬「えっ」

梓「唯先輩に抱き付かれた私を見て、何も感じないんですか」



65 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:54:06.65 ID:FHIMZ0Tv0

それは予想だにしていない問いかけでした。
私も唯ちゃんのように梓ちゃんに抱きつきたいと思ったことは何度もあります。
でも、唯ちゃんに嫉妬したことは一度もありません。

紬「えっと……」

梓「……すいません忘れてください」

紬「梓ちゃん!」

梓「ごめんなさいっ!」


そう言い残すと梓ちゃんは、部室に駆け入り、荷物を持って飛び出しました。
私はそれをただ見つめていることしか出来ませんでした。



67 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:58:03.87 ID:FHIMZ0Tv0

その日の夜も私は御父様と死闘を交えました。
お互い息を切らせて激しい言い争いが続きます。

ただ、御父様も絶対に折れるつもりがないようではなさそう。
意地になって反対しているだけのように見えます。

御父様は優しい人だから「堕ろせ」とは決して言えないのでしょう。
だからと言って娘の人生を狭めるような選択を簡単に許せるわけでもなく、
意固地になってしまっているのだと感じました。

時間はかかるでしょうが、必ず御父様を説得することはできる。
私は確信しています。


激しい論戦が終わり、自分の部屋に戻ると、一件のメールがきました。
それは梓ちゃんからのメール。
「駆け落ちしてください。待ってます」とだけ書かれた短いメール。
私は「駅で」とだけ書いて返信し、支度をしました。



68 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 20:59:51.22 ID:FHIMZ0Tv0

梓「きてくれたんですか」

紬「もちろん」

梓「きてくれないと思ってました」

紬「ごめんね」

梓「なんで謝るんですか?」

紬「心配させちゃったから、梓ちゃんに」

梓「そんなこと……」

紬「あるよ」

梓「……」

紬「不安にさせてごめんね」

私は梓ちゃんの体を抱き寄せました。
梓ちゃんの体はとっても冷たかったので、ぎゅっと強く抱きしめました。



70 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 21:01:38.53 ID:FHIMZ0Tv0

梓「私、不安なんです」

紬「知ってた」

梓「妊娠してから、ムギ先輩が本当に自分のことを好きなのか、とか。
  本当に赤ちゃんを産めるんだろうか、とか」

紬「うん」

梓「だから唯先輩と手を繋いでるムギ先輩に嫉妬したり、
  嫉妬してくれないムギ先輩にいらついちゃったりしたんです」

紬「わかってるよ」

梓「本当は『責任とってください』なんて言いたくなかったんです。
  喜びをわかちあいたかったんです」

紬「うん」



71 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 21:03:14.86 ID:FHIMZ0Tv0

梓「ムギ先輩。はっきり教えてください。
  私のこと、どう思ってるのか。赤ちゃんのこと、どう思ってるのか。
  もしムギ先輩が迷惑だと思ってるなら……」

紬「ねぇ、梓ちゃん」

梓「はい」

紬「琴吹家に戻った私がはじめに何したと思う?」

梓「……わかりません」

紬「宝石をね、整理したの」

梓「宝石、ですか?」

紬「ええ、両親に最後まで反対されても赤ちゃんを育てられるように。
  数百万円分あるわ」

梓「それじゃあムギ先輩は」

紬「うん。梓ちゃんに子供を産んで欲しくて仕方ないの。
  たとえ駆け落ちしてもね」

梓「ムギ先輩……信じていいんですか?」

紬「もちろん。
  それからもうひとつ」

梓「なんでしょうか?」



73 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 21:04:19.30 ID:FHIMZ0Tv0

紬「私、梓ちゃんが思ってるよりずっと梓ちゃんのこと好きだから」

言い終わるやいなや、梓ちゃんの口に舌を侵入させました。
11月の夜にするキスは、とても暖かくて、幸せな気持ちに浸れました。
キスが終わった後、梓ちゃんは蕩けた顔をしていたので、もう一度キスをしました。

何度もキスを重ねた後、梓ちゃんを私の家に連れて帰りました。

紬「そうだ。梓ちゃんいい報告があるの」

梓「いい報告ですか」

紬「うん。御父様の心が揺らいでるみたい」

梓「本当ですか!?」

紬「うん。きっともう少しで説得できると思うの!」

梓「じゃあ障害は全部なくなるんですね」

紬「ええ。……でもね、梓ちゃん」

梓「はい」


紬「こういうことは何度もあると思うの」



74 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/09/04(火) 21:05:42.34 ID:FHIMZ0Tv0

梓「こういうこと?」

紬「二人のどちらかが精神的に参ってしまったりすること」

梓「……はい」

紬「でもきっと大丈夫。私達には軽音部のみんながいるもの」

梓「……はい」

紬「梓ちゃんの御両親や、私の御父様や御母様だってきっと力になってくれるわ」

梓「……はい」

紬「それに私は梓ちゃんのこと大好きだし、
  梓ちゃんも……」

梓「ムギ先輩のこと大好きです」

紬「だからね、今は本当に思えるの
  私達の赤ちゃん楽しみだって!」

梓「……はい!」


おしまいっ!





http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346755233/
[ 2012/09/04 ] SS | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

プロフィール

はらみこ

Author:はらみこ

更新休止

一時からするとだいぶ咲熱治まりましたが、毎回アンケは二重丸で出してます。

~特に応援中~
松実姉妹、京咲、照菫
あと、黒髪モブ子さんが大好き
チョコレも大好き

感想コメント大歓迎大募集
どうぞお気軽に

ブログについて
Twitter(更新情報)

検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。