1 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 22:49:26.57 ID:V9GJAGTx0
梓「さ……」
梓「寒い……」ガチガチ
梓「これ程までとは……」
梓「雪国……舐めてた……」
梓「でも頑張らないと……」
梓「…………」
梓「……はっ、ぼーっとしてた」
梓「何か考えてないと危ない……えーっと」
梓「そもそも、何でこんな所まで来たんだっけ……?」
梓「えっと――」
2 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 22:53:38.47 ID:V9GJAGTx0
梓「――え? 何ですか?」
律「だからぁ、雪国」
梓「雪国って、あの雪が降り積もって大変な事になる雪国ですか?」
律「そうだよ。それ以外あるか?」
梓「まぁないですけど……どこに行くんですか?」
紬「私の別荘よ~。結構積もるから、雪だるまでもかまくらでも何でもできるの」
梓「……要するに遊びに行くんですか?」
3 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 22:59:23.72 ID:V9GJAGTx0
律「ちっがーう! 冬期合宿だ!」
澪「一面の銀世界……うん、いい詩ができそうだな」
唯「もちろんあずにゃんも行くよね!」
梓「まぁ、そういうことでしたら構いませんけど……」
唯「やった~」
律「よーし、決定だな。ムギ、手配を頼む!」
紬「かしこまり~」
唯「ねえねえ、りっちゃん。スキーとスノボ、どっちにしようかな?」
律「今年はスノボにするかー」
梓「……遊びに行くんですか?」
澪「毎度の事だ、諦めよう――」
9 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:05:12.60 ID:V9GJAGTx0
梓「――そうだった、そうだった」
梓「それでいつも通りになし崩しで来たんだった」
梓「うぅ、寒い」ブルッ
梓「雪、いいや吹雪で視界が……」
梓「ああ、それでどうして今現在私は、こんな猛吹雪の中を行脚してるんだっけ?」
梓「えっと確かあれは別荘に着いてから――」
10 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:10:11.59 ID:V9GJAGTx0
唯律「――着いたー!」
紬「着いた~」
澪「いやー……何というか」
梓「もう疲れましたね……雪道を歩くのって神経使いますね」
澪「少し積もってるだけでもそうなのに、この積雪だからなぁ」
唯「それじゃあ~、何する何する!?」
律「そうだなぁ、それじゃあ早速スキーでも――」
11 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:14:54.95 ID:V9GJAGTx0
澪「何しにきたんだ!」スパァン!
律「こ、これからの放課後ティータイムの動向会議と、連携の強化合宿であります……」
唯「あわわ……」
梓「でもあれじゃないですか? これだけ雪が積もってる中で演奏しても大丈夫なんですか?」
唯「ふぇ? なんで~」
梓「よく言うじゃないですか。大きな音を出したら雪崩が起きるって」
唯「えぇっ、そうなの!? どうしようムギちゃん、私この年で氷漬けになっちゃうの!?」
紬「大丈夫よ、唯ちゃん。この別荘の防音設備は完璧だから」
唯「でもでも、ムギちゃんを疑うわけじゃないけど、それでも完璧じゃなかったりするし……」
律「ムギが大丈夫っていうんだから大丈夫なんじゃないか」
唯「りっちゃん……」
12 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:19:26.65 ID:V9GJAGTx0
澪「それに、その雪崩云々は都市伝説って聞いたことあるぞ」
梓「えっ、そうなんですか?」
澪「ああ。詳しくは知らないんだけど、大げさに取られた結果というか」
唯「へえぇ~、澪ちゃん物知りさんだね! 歩く生き字引さまだよ~」
梓「さすがです、澪先輩」
澪「おいおい、ちょっと褒めすぎじゃないか。はっはっはっ」
律(あれは多分、心配になって調べたんだろうな……)
13 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:24:25.59 ID:V9GJAGTx0
律「それよりさー、温泉行こうぜ。温泉」
唯「おおっ、りっちゃん隊員、いい提案ですね!」
梓「温泉ですか?」
唯「この辺に温泉が何ヶ所かあるんだって。ねぇ、ムギちゃん」
紬「うん。いろんな効能の温泉があるの」
澪「へぇ。どういうのがあるんだ?」
紬「結構立ち寄る人が多いみたいで、パンフがあるの。はい」
唯「わぁ~、本当にいっぱいあるね」
梓「そうですね」
律「!」
14 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:27:33.62 ID:V9GJAGTx0
澪「? どうした、律」
律「ちょっと用事を思い出して!」ダダッ
澪「お、おい! 全く……」
唯「わ~、ここ、おっきいね~」
梓「やっぱりお客さん多いんですかね?」
紬「そこはスキー場が近いから、そっちから流れる人が多いかも」
梓「なるほど。それに、ここからじゃ遠いですしね」
澪「私はあんまり人がいない所の方がいいかな」
梓「その方がゆっくりできますもんね」
唯「ほかの人いたら泳げないもんね~」
梓「そういう意味じゃないですし、泳ぐのは唯先輩くらいですよ」
唯「えぇ~、そんなことないよ。ねぇ、澪ちゃん」
澪「する訳ないだろ!」
唯「えぇ~」
16 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:31:36.98 ID:V9GJAGTx0
紬「ふふ……それじゃあ、どこにしようか?」
梓「そうですね……近くのこれなんかどうですか」
澪「悪くないな」
梓「あ、でもここ、混浴って書いてありますね……」
澪「ここ、こ、混浴!?」
唯「ムギちゃん、こんよくって?」
紬「男湯と女湯に分かれてなくて、一緒に入る所よ」
唯「おお! 大人の階段二、三歩駆け上がれそうだね!」
澪「ぜぜぜ、絶対行かないからな!」
梓「わ、私も遠慮したいです」
唯「えぇ~、何事もチャレンジだよ~」
紬「今日は吹雪いてるから、誰もいないかもね」
唯「ほら、澪ちゃん!」
澪「い・や・だ!」
唯「えぇ~」
18 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:37:17.13 ID:V9GJAGTx0
梓「そこは無しとして、隣のここにします?」
澪「混浴じゃないならそこでいいよ」
紬「じゃあそこに決める?」
律「ちょっと待ったー!」バーン!
唯「わっ、びっくりした」
澪「どこに行ってたんだ」
律「温泉を決めるのはまだ早い! こんなとこもあるぞ!」
唯「おぉ~」
澪「なんかカラーコピーしたみたいな紙……怪しい」
紬「これって……」
唯「伝説の秘湯だって! わくわくするね!」
澪「ますますもって怪しい」
20 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:42:10.12 ID:V9GJAGTx0
梓「裏にも何か書いてありますよ」
唯「あ、ホントだ。なになに……効能みたい」
澪「どれどれ、神経痛、筋肉炎、冷え性、肩こり、うちみ、くじき、疲労回復、豊胸効果……か。何か最後だけ手書きじゃないのか?」
梓「!!!」ガタッ!
唯「ど、どうしたのあずにゃん!?」
梓「あ! い、いえ! 澪先輩、その温泉ってどこにあるんですか?」
律「きたきた」ニヤニヤ
澪「えっ、場所か? えっと……何だ、手書きの地図? おい律、これって――」
梓「ありがとうございます!」バッ
澪「――お前の……って、梓!」
梓「私が先行して見つけてきます! お気になさらずにー!」バタン
唯「あずにゃん!?――」
22 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:48:10.85 ID:V9GJAGTx0
梓「――そうだった……伝説の秘湯を探してたんだった……」
梓「しかし、今にして思えば非常に怪しい」
梓「カラーコピーに手書きの地図って……」
梓「律先輩もニヤニヤしてた気がするし」
梓「でもここまで来たら引き返せない」
梓「というか、どっちが前でどっちが後ろかもわからない……」
梓「もう駄目かも……くじけそう……」
梓「あぁ……」
梓「お父さんお母さん、先立つ不幸をお許し下さ……」
梓「…………」
梓「…………はっ!」
梓「……今のは本当に危なかった……」
梓「何でもいい! 何か楽しい事でも考えてないと!」
梓「えーっと、えーっと――」
24 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:51:50.55 ID:V9GJAGTx0
梓「――うわぁ……それにしても、見事に積もってますね」
澪「これだけ積もってたら、確かにかまくらでも何でもできそうだな」
紬「それじゃあ雪だるま作らない!?」
律「生き生きしてるなー、ムギ」
紬「私、みんなと雪だるま作るのが夢だったの~」
澪「はは、まぁ構わないけどな」
梓「それじゃあ私、頭作りますね」
唯『甘い! 大甘だよあずにゃん!』
梓「唯先輩?」
紬「声はすれど、姿は見えず……」
澪「こっちの方から聞こえた気が……」
梓「唯先輩、どこですか?」
25 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/24(金) 23:56:05.62 ID:V9GJAGTx0
唯『ここだよ、あずにゃん!』
律「ここって」
澪「雪山、だよな」
梓「まさか」
唯『今出るよ! ちょっと下がっててね』
梓「やっぱり」
唯『う、うううう、ううううぅぅぅぅん!』ガラガラガラガラガラ
律「うわっぷ!」
澪「お、おい!」
唯「ぷわぁ~」
梓「唯先輩、あの――」
唯「あずにゃん!」
梓「は、はい!」
唯「雪を舐めてたら大怪我するよ!」
梓「どの口で言ってるんですか……」
26 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:00:43.80 ID:5GNXXyil0
唯「――いや~、一時はどうなることかと」
紬「はい、唯ちゃん。暖かいお茶よ」
唯「わ~、ありがとうムギちゃん」
梓「どうして埋もれてたんですか?」
唯「えっと、もっと上の方から見下ろそうと思って移動して」
律「ふむ」
唯「折角だから雪だるま作ろうと思って」
澪「うん」
唯「上から転がせば楽なんじゃないかな~、って思って」
紬「ふんふん」
唯「気付いたら自分が転がって、そこの木に激突して、木に積もってた雪を被った次第でして」
梓「身をもって雪山の恐怖を体験しないで下さい……」
27 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:07:19.34 ID:5GNXXyil0
唯「まぁ、そういうわけだからみんなも気を付けてね~」
紬「わかった! 唯ちゃんの敵は私が取るね!」
澪「よくわからん捉え方をしてるな」
律「まぁ確かに折角だから、各々雪だるま作ってみるのも面白いかもしれないな」
梓「各自で作るんですか?」
澪「また突然に……」
唯「よ~し、今度こそ作るぞ~!」
紬「私も頑張る!」
梓「ノリいいなぁ……やらなきゃダメですか?」
律「あったり前! おやぁ~、梓ちゃんは自信ないのかなぁ~?」
梓「むっ。いいですよ、やってやりますよ!」
澪「結局なし崩しだな……」
29 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:12:42.64 ID:5GNXXyil0
律「普通に作っても面白くないからさー、右隣の人に似せた雪だるまを作ること!」
唯「おっけ~。じゃあ私は頑張ってあずにゃん3号を作ります!」
梓「張り切らなくて結構ですよ。私は澪先輩ですね」
澪「私が律で」
律「私がムギ」
紬「それで私が唯ちゃんを作ればいいのね」
律「では各自スタート!――」
30 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:18:51.05 ID:5GNXXyil0
律「――どうだー、あらかたできたか?」
梓「はい、できました」
澪「私もできたぞ」
紬「ばっちりできたわ~」
律「唯は?」
唯「うーん、ちょっと気に入らないことがあって……」
律「ふん? じゃあ、梓から順番に見ていこうか」
梓「いいですよ。はい、どうぞ」
律澪紬「おお~」
律「これは結構……」
澪「私に似てる……かも」
紬「特徴を良く捉えてるわぁ。上手いわね、梓ちゃん」
32 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:24:07.21 ID:5GNXXyil0
梓「えへへ……澪先輩の写真を常に眺めてますからね、それはもう」
澪「え?」
律「なるほどなー、それじゃあ次は澪の番だぞ」
澪「いや、ちょっとサラっと怖いこと言わなかったか?」
紬「いいからいいから~」
澪「う、うん……それじゃあ、はい」
律紬梓「おお~」
律「これは……」
梓「律先輩のおデコが強調されてて」
紬「特徴を良く捉えてるわぁ。上手いわね、澪ちゃん」
澪「そ、そうか? あ、ありがとう」
律「なんか釈然としねー」
33 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:28:54.54 ID:5GNXXyil0
梓「まぁまぁ、律先輩。こんなに上手く作れるのって澪先輩だけですよ」
紬「やっぱり二人はベストフレンドね~」
律「う……そ、そんなことねーし!」
澪「さ、もういいだろ。次はムギの番だな」
紬「は~い。さぁ、召しませ~」
律澪梓「おお~」
律「これは確かに」
澪「唯なんだけど」
梓「何で裸像なんですか……」
紬「それは趣味……コホン、芸術を追求してみました~」
律「まぁ、単なる雪の像でここまで表現したのは見事だけどさ」
澪「邪な匂いがする……」
梓「このピンク色の禍々しさが、文章では伝えきれないのが残念です」
35 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:32:26.13 ID:5GNXXyil0
律「……じゃ、じゃあ、気を取り直して。唯、そろそろいいか?」
唯「うーん、うーん」
梓「何をそんなに悩んでいるんですか?」
澪「梓の像が二つ……どっちも上手く出来てるじゃないか」
紬「本当~、唯ちゃん上手ね」
唯「えぇ~、そう、かなぁ」
律「なーにが不満なんだよ」
唯「こっちのあずにゃんはここら辺がぐいんっ、ってなっててさー」
律「はい?」
唯「本当はそうじゃなくて、ばーっんとして、どーっんってさせたいんだよ~」
36 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:35:13.23 ID:5GNXXyil0
澪「……唯、こっちのは?」
唯「こっちはこっちでよくできたんだけど、肝心のこの部分がぱりっとしててさー」
紬「ふむふむ」
唯「こっちみたいにぐにってならないの。もっとがりがりさせたいのに~」
律「さっぱりわからん」
梓「要するに、どっちも甲乙つけがたくて悩んでるんですか?」
唯「そうなんだよ~。どうしようか?」
律「どっちでもいいわい」
唯「よくないよ~!」
梓「はぁ……まったくもう……」
37 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:40:55.32 ID:5GNXXyil0
澪「それで、律」
律「うん?」
澪「一応出揃ったけど、これでどうするんだ?」
律「え、いやー……あー」
澪「何も考えてなかったのか……」
律「あははは……と、とりあえず転がそうか」
梓「え!? そんな、折角作ったのに」
紬「さんせ~い」
梓「えぇ!?」
38 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:45:29.95 ID:5GNXXyil0
唯「まぁ、仕方ないよね。どっちのあずにゃんも私にとっては大切な宝物だよ!」
梓「何かいい話にしようとしてるけど、おかしいですって!」
澪「じゃあ転がすぞ、せーのっ」
唯律澪紬「えいっ」ゴロゴロゴロゴロ
梓「えっ、ええぇっ!」ゴロゴロゴロゴロ
唯「お~、今宵のだるまはよく転がる転がる」
梓「な、何で私の方に転がすんですかー!」
律「お、当たりそうだな」
紬「私、一回人間ボーリングしてみたかったの~」
梓「わああああぁぁぁ~!――」
39 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:49:08.27 ID:5GNXXyil0
梓「――はっ!」
梓「考えながら歩いてたら、木にぶつかって埋もれてた……」
梓「もっと注意して歩こう」
梓「…………」
梓「…………」
梓「うぅ……」
梓「くじけそう……」
梓「雪だるまとか考えるからよくなかったんだ」
梓「もっとあったかくなれる事を考えよう」
梓「えっとえっと――」
41 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:52:11.30 ID:5GNXXyil0
梓「――ムギ先輩、どこに行くんですか」
紬「あ、梓ちゃん」
梓「そんなに着込んで……外に出るんですか?」
紬「うん、かまくら作ろうと思って」
梓「まぁ、これだけ雪があれば大きいのも作れそうですね」
紬「でしょう。私、かまくらの中でお餅焼いて食べたかったの~」
梓「ムギ先輩、そういうの好きそうですもんね」
紬「うん、大好き! じゃあ行って来ま~す」
梓「ちょちょ、ちょっとムギ先輩!」
紬「え? なぁに」
梓「まさか一人で行くつもりですか!?」
紬「そ、そうだけど」
42 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:56:04.95 ID:5GNXXyil0
梓「どんな大きさのを作るのかわかりませんが、一人だと大変ですよ」
紬「えっと、大体部室位の大きさにしたいかな?」
梓「でかっ! じゃなくて、それを一人でっていうのが難しい話ですよ」
紬「そうかしら……でも、みんなも何かしら忙しそうだし」
梓「……わかりました」
紬「?」
梓「私も手伝いますよ」
紬「えっ、いいの?」
梓「はい。ムギ先輩の事ですから完成するまで帰ってこないでしょうし」
紬「梓ちゃん……」
梓「氷漬けのムギ先輩なんか見たくないですしね」
紬「梓ちゃん……ありがとう!」
梓「お礼は完成してからで結構ですよ。さぁ行きましょう」
紬「は~い――」
43 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 00:59:15.02 ID:5GNXXyil0
紬「――出来ました~」
梓「……」
紬「どうしたの、梓ちゃん?」
梓「いやー……思いの外早かったなぁ、って」
紬「それは梓ちゃんが手伝ってくれたお陰よ~」
梓「いやいや、私は全体の五分の一もやってないですから」
紬「そ、そう?」
梓「一人でも簡単に出来そうでしたね」
紬「ま、まぁ、何はともあれ完成したから! 早速入ってみましょう」
梓「あ、はい」
44 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:01:46.95 ID:5GNXXyil0
梓「はぁー……暖かいですね」
紬「作った甲斐があったわ~」
梓「ふふっ」
紬「うん? 何かおかしかった?」
梓「あ、いえ! そんなんじゃないです!」
梓(さすがにはしゃいでるムギ先輩が可愛くて、なんて言えないよ)
紬「梓ちゃん?」
梓「あ、あぁ、ほら、ムギ先輩! 中でお餅焼くんでしょう!」
紬「う、うん」
45 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:06:19.03 ID:5GNXXyil0
梓「あれ? ムギ先輩、お餅はどこに置いてあるんですか?」
紬「よいしょ……っと、はい」ドン
梓「臼と杵……? ま、まさか」
紬「そして、はい、餅米」
梓「これ、まさか今からつくんですか!?」
紬「そうよ~、私、餅つきも一回やってみたかったの!」
梓「え、えーっと、ムギ先輩」
紬「あぁ、大丈夫よ。梓ちゃんは返しをやってくれたらいいから」
梓「いや、そうじゃなくてですね」
46 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:09:40.55 ID:5GNXXyil0
紬「はい、蒸し完了~。それじゃあ、つきま~す!」
梓「いつの間に!? というか、かまくらの中でやるんですか!?」
紬「そ~れ~」ブンッガツッ
紬梓「あ」
梓「あわわわわ」ガラガラガラガラ
紬「梓ちゃん、ごめ~ん。勢い付けすぎて天井に杵をぶつけちゃったぁ」ガラガラガラガラ
梓「そ、そんな悠長に謝ってる場合じゃないですよ! 早く逃げないと……!」
紬「う~ん、手遅れじゃないかしら」
梓「あぁ……そんなあああぁぁぁぁぁぁ…………――」
48 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:13:44.94 ID:5GNXXyil0
梓「――…………ああぁぁぁぁ」
梓「…………はっ!」ガバッ
梓「い、いけないいけない」
梓「変なこと考えてたせいか、軽く生き埋めになってた」
梓「途中までは楽しかったのに……」
梓「ううぅ、冷えてきたなぁ」
梓「かまくらー、暖炉ー、こたつー」
梓「寒いよぉー……」
梓「もっともっとあったまる、楽しいこと考えないと」
梓「えーっと――」
49 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:19:47.79 ID:5GNXXyil0
律「――それでは、今から雪合戦を行いたいと思いまーす!」
澪「また唐突に……」
梓「中学生じゃないんですから、そんなの誰が喜んで――」
紬「わぁ~、私一度やってみたかったの!」
唯「チーム分けどうしよう、チーム分け!」
梓「――やってます……ね」
澪「多数決って怖いな……」
50 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:24:28.65 ID:5GNXXyil0
律「えーっと、それじゃあ唯・梓チームと、澪・ムギチームに決まりましたー」
澪「律はどうするんだよ」
律「私は審判でーす」
澪「……腑に落ちないところはあるけど、人数足りないから仕方ないか」
律「そうそう」
紬「澪ちゃん、頑張ろう!」
澪「凄いやる気だな……」
唯「あずにゃん、私たちも頑張るよ!」
梓「その頑張りをいつもの練習でもお願いしますよ」
唯「あぁ~ん、それは言わないでぇ~」
梓「まったくもう……でも」
唯「うん?」
梓「やるからには勝ちに行きますよ!」
唯「お、おぉ~」
51 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:27:51.74 ID:5GNXXyil0
律「陣地と雪玉の準備はできたなー? 始めるぞー」
唯澪紬梓「は~い」
梓「雪玉は私が投げますから、唯先輩はこの雪壁に隠れてて下さい」
唯「それであずにゃんに玉を補給しつつ渡せばいいんだね。まっかせてよ~」
梓「では速攻で行きますよ……それっ――」ヒュッボカーン
梓「――な、何今の……石の塊……? 唯先輩……」クルッ
唯「あ、あずにゃん……」
梓「唯先輩!? これはひどい……致命傷だ」
52 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:32:51.64 ID:5GNXXyil0
澪「よし、ムギ。その調子だ」
紬「よ~し、次は梓ちゃんね」
梓「タイム! ちょっとタイムです!」
律「なーんだよ。勝手にルール作るなよな」
梓「いやいや、明らかにおかしいでしょう、ムギ先輩の雪玉!」
澪「え、そうか?」
紬「普通に握って投げただけだけど……」
梓「雪の壁で作ったバリケード貫通したんですよ!」
澪「そういう事もたまにはあるんじゃないか?」
梓「直撃した唯先輩が昏倒してるんですよ!? 絶対おかしいです! 異議有りです!」
53 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:36:43.96 ID:5GNXXyil0
律「あーわかったわかった、神経質だなぁ。ムギ、悪いけど玉割って見せてくれよ」
紬「構わないけど……えいっ」バガァン!
澪「……ほら梓、何の変哲もない普通の雪玉だろ?」
梓「普通の雪玉はそんな音で割れませんよ!」
律「これで満足したろ? じゃー再開でー」
梓「ちょっ、まだ解決して――」
紬「投げま~す」ビュオッ
梓「わああぁ! ち、近いです!」
澪「ムギ、私も攻撃に参加するぞ」ヒュッ
梓「痛っ、いたたっ」
54 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:40:12.86 ID:5GNXXyil0
律「ついでに私も参加しちゃいまーす」ヒュッ
梓「痛い! な、何で律先輩も……」
唯「あずにゃん覚悟~!」ヒュッ
梓「ど、どうして唯先輩まで敵になってるんですかー!」
澪「あっ、逃げたぞ」
律「集中砲火だ! 火力を一点に集中しろー!」
紬「あいあいさ~」
唯「ふんす!」
梓「あ、あの、これは本当に、シャレにならな……あうっ」
梓(あぁ……意識が朦朧と――)
56 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:44:24.40 ID:5GNXXyil0
梓「――痛い痛いっ! 本当に痛い!」
梓「いつの間にか霰が降ってるし!」
梓「痛っ! もう雹じゃないの!?」
梓「ううぅ、顔面に命中しちゃったよ」
梓「とりあえずどこかに身を隠さないと」
梓「あっ、あんなとこに明かりが」
梓「小屋か何かかな?」
梓「とにかくお邪魔させてもらおう」
梓「すみませーん……って、あれ?」
57 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:49:19.44 ID:5GNXXyil0
梓「ここって……脱衣所? じゃあ……」
梓「見つけたのかも、伝説の秘湯」
梓「これでやっとミッション達成かぁ……あれ、でも」
梓「秘湯の割に先客が、えっと一、二……四人も」
梓「しかもどこかで見た服……」
梓「……これは!?」
梓「み、澪先輩の下着……!」
梓「という事は、私は律先輩に一杯食わされたって事か」
梓「けど、なんだろう」
梓「この状況、すごーく嫌な予感が――」ガラガラ
58 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:52:22.64 ID:5GNXXyil0
唯「――あ~、いいお湯だった~」
澪「そうだな」
紬「でも、梓ちゃんに悪い事しちゃったわね」
律「まさか本気にするとはなぁ……あれ?」
唯「あずにゃん?」
梓「律先輩、勘弁して下さいよ。死ぬかと思いましたよ!」
唯「……」
律「……」
澪「」
紬「わあぁ……」
梓「ど、どうしたんですか、皆さん」
60 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:55:37.33 ID:5GNXXyil0
律「いやぁ……どうしたっていうか」
唯「それ……」
梓「え……あっ」
澪「わ、私の、パ、パ、パ」
梓「いや! これはそのそういうつもりじゃ!」
紬「梓ちゃん……鼻血」
律「梓……そこまでに達していたか……」
澪「」
梓「あああああのその、これもその違うんです! そういうんじゃないんです! さっきぶつけちゃって……」
唯律澪紬「…………」
梓「あ……あああぁぁぁ!!!」バタン!
62 名前: VIPがお送りします 投稿日: 2012/02/25(土) 01:59:23.63 ID:5GNXXyil0
唯「あ、逃げた」
律「お、おーい梓!」
澪「梓ぁ! わ、私の……ぱんつ返してくれえぇぇぇぇ!」
梓「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいぃぃぃぃぃぃ!!」
梓「あっ」ガツッ
梓「ああああぁぁぁ……」ゴロゴロ
唯「転げ落ちた」
律「こりゃあ……」
紬「雪だるま~」
澪「…………ぱんつ」
おしまい!